こんにちは。宇佐川芳鉢です。
今回は尾崎豊という歌手について書きます。
尾崎豊の命日
今日(この文章の執筆時、4月25日)は尾崎豊の命日であるそうです。
1965年に生まれ、1992年に亡くなりました。
享年26歳。
2025年、もし生きていれば60歳になる年です。
あまりにも早すぎる死……。
今なお人口に膾炙していることからも、その絶大な影響力が窺えます。
尾崎豊に対する誤解
しかし、その注目のされ方は決して好意的なものではありません。
やり玉にあげられるのは「♪盗んだバイクで走り出す~」でお馴染みの『15の夜』など。
言ってしまえば「DQN」的なイメージですね。
そんな浅い犯罪自慢が、ここまで多くの人々から熱狂的に支持されるわけないでしょうに……。
その「情景描写」の背景にあるもの、そのはち切れそうなほどの切実さ。
たしかに、歌詞で見ただけでは伝わりにくいかもしれません。
それでも音源を聴いて貰えたら、ここのところが一発で腑に落ちると思います。
結局、尾崎豊を毛嫌いする人って、頭ごなしに否定している人が多いんですよね~。
尾崎豊の人物像
評伝なんかを読んでいると、尾崎豊ほど誠実な人間は珍しいな~としみじみ思います。
実際に会ったことなどありませんが……。
その真剣さ、青臭さ、泥臭さ、汗臭さ。
そういったものがムンムンと読んでるこちらまで伝わってくるようです。
はっきり言って、それは分かる人だけでひっそりと共有されるぐらいの規模がちょうど良かったのではないかと思います……。
というのも、尾崎豊を良くも悪くも有名人にしたのは、結局、本物の「DQN」なんですよね。
そういう輩が尾崎豊の歌を盾にして好き勝手やったせいで、悪い注目を集めてしまっただけなんです。
「♪夜の校舎窓ガラス壊してまわった~」で有名な『卒業』。
それにかこつけて、本当に迷惑行為を辞さなかった愚か者たち……。
その「情景描写」の背景にあるもの、あるいは、それが象徴するもの、もしくは、秘められた感情、などなど……。
そこに、本当にちょっとでも思い当たる節があるのならそんな浅はかな行為なんて出来るはずがありませんよ。
そこに込められた「苦しみ」や「やりきれなさ」を理解できない人間だからこそ、本当に窓ガラスを割ってしまえるのです。
尾崎豊という歌手は、その青臭さと本気度から、そうした鼻につく表現を厭わなかっただけです。
それは尾崎豊の「作品に嘘をつくわけにはいかない」という「誠意」からくる表現だったのに。
なのに、それなのに……。
「尾崎もやってんだからさ!」とでも云うように、面白半分で、ふざけながら、悪意ある消費の標的となりました。
これは、尾崎豊の「誠意」に対する「裏切り」であると自分は思います。
あまりにも激しく消耗してしまう「歌手」という生き方は、もしかしたら彼には向いていなかったのかもしれませんね……。
有り得たかもしれない未来
後年、尾崎豊は「本の執筆」に興味を示していたのだとか。
実際、歌詞集ではなく「書き下ろし」の詩集であったり、短篇小説集を出してたりしてます。
しかし、正直、その中身はというと、見よう見まねの習作という感じで、どうも、あんまり良いとは言えない……。
それでも二十歳前後でこんな文章を書けるのは、単純にすごいです。
まだまだ、十分に伸びしろもあったと思います。
物書きとして大成した尾崎豊……。
そんなあり得たかもしれない世界に思いを馳せたりしますね。